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振興指針

要旨

厚生労働省告示第七十六号
生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律(昭和三十二年法律第百六十四号)第五十六条の二第一項の規定に基づき、◆食肉販売業の振興指針◆(平成二十八年厚生労働省告示第四十号)の全部を次のように改正し令和三年四月一日から適用する。
令和三年三月十八日
厚生労働大臣 田村 憲久
◆食肉販売業の振興指針◆
食肉販売業の営業者(以下「営業者」という。)が、食品衛生法(昭和22年法律第233号)等の衛生規制に的確に対応しつつ、現下の諸課題にも適切に対応し、経営の安定及び改善を図ることは、国民生活の向上に資するものである。
このため、生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律(昭和32年法律第164号。以下「生衛法」という。)第56条の2第1項に基づき、◆食肉販売業の振興指針◆を定めてきたところであるが、今般、営業者及び生活衛生同業組合(生活衛生同業小組合を含む。以下「組合」という。)等の 事業の実施状況等を踏まえ、営業者及び組合等の具体的活用に資するよう、実践的かつ戦略的な指針として全部改正を行った。
今後、営業者、組合等において本指針が十分に活用されることを期待するとともに、新たな衛生上の課題や経済社会情勢の変化、営業者、消費者等のニーズを反映して、適時かつ適切に本指針を改定するものとする。
第一 食肉販売業を取り巻く状況
一 営業者の動向
食肉販売業の許可を受けた施設数は、全国で144,963施設(平成30年度末現在)であり、10年前(平成20年度末)と比較して3,392施設の増となっている。平成27年度から平成30年度までの新規営業施設数は57,915施設、廃業施設数は55,577施設と新設の施設数が廃業の施設数を上回っている(厚生労働省「衛生行政報告例」による。)。
令和2年9月現在の営業者の規模は、従業者数5人未満の零細事業者が61.8%であり、また、経営者の年齢は、60歳から69歳までが25.2%、70歳以上が26.8%となっており、60歳以上が全体の52.0%となっている。後継者の有無は、40.7%が「あり」、55.4%が「なし」と回答している。
また、経営上の課題(複数回答)として、80.5%が「原材料費・諸経費の増加」、74.8%が「客数の減少」、70.0%が「客単価の減少」と回答している(公益財団法人全国生活衛生営業指導センター(以下「全国指導センター」という。)「令和2年度生活衛生関係営業経営状況調査」による。)。
また、令和元年12月に確認された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(以下「新型コロナウイルス感染症」という。)の感染拡大は社会経済に大きな影響を与え、我が国の食肉販売業も多大な影響を受けたところである。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う事業への影響について、食肉・食鳥肉販売業の営業者で、売上が減少したと回答した者は75.6%となっており、その売上の減少幅(令和2年2~5月の対前年比)は、「20%未満」が24.9%、「20%以上50%未満」が46.2%、「50%以上80%未満」が26.4%、「80%以上」が2.5%となっている(株式会社日本政策金融公庫(以下「日本公庫」という。)「生活衛生関係営業の景気動向等調査(令和2年4~6月期)特別調査」による。)。
二 消費動向
消費者の意識調査において、令和元年度の食肉の種類別購入頻度は、牛肉では27.1%が「週に1日程度」、21.7%が「月に2~3日程度」と合わせて約5割を占めている。豚肉は24.8%が「週に2~3日程度」、37.2%が「週に1日程度」、鶏肉は20.6%が「週に2~3日程度」、37.8%が「週に1日程度」と、いずれも合わせて6割程度を占めている。過年度調査(平成29年度調査及び平成30年度調査)との比較においては、牛肉はいずれの購入頻度もほぼ変わらないが、若干減少傾向となっている。
また、食肉購入時に重視する項目については、いずれも「価格が手頃であること」が最も多くなっており、消費者の節約志向が続いている(公益財団法人日本食肉消費総合センター「食肉に関する意識調査」による。)。
三 営業者の考える今後の経営方針
営業者の考える今後の経営方針(複数回答)については、「接客サービスの向上」が71.5%と最も多く、次いで「広告宣伝の強化」が63.4%となっている(全国指導センター「令和2年度生活衛生関係営業経営状況調査」による。)。
また、食肉・食鳥肉販売業を営む者が、新型コロナウイルス感染症収束後に予定している取組としては、「新たな販売方法の開拓」が40.0%、次いで「新商品、新メニューの開発」が28.1%、「広報活動の強化」が20.6%となっている一方、「特にない」が43.8%となっている(日本公庫「生活衛生関係営業の景気動向等調査(令和2年4~6月期)特別調査」による。)。
第二 前期の振興計画の実施状況
都道府県別に設立された食肉販売業の組合(令和元年12月末現在、46都道府県で設立されている組合)においては、前期の食肉販売業の振興指針(平成28年厚生労働省告示第40号)を踏まえ、生衛法第56条の3第1項に基づき、振興計画を策定し、実施しているところであるが、当該振興計画について、全5か年のうち4か年終了時である令和元年度末に実施した自己評価は次表のとおりである。
表 振興計画の実施状況についての各組合による自己評価
 
事業名
達成
概ね達成
主な事業
1
衛生に関する知識及び意識の向上に関する事業
71%
27%
・衛生管理講習会の開催
・衛生マニュアル等の作成及び配布
・巡回指導、消費者意識調査
2
施設及び設備の改善に関する事業
14%
43%
・施設等の整備及び改装
・資金の借入れ等に関する講習会の開催
3
消費者の利益の増進及び商品の提供方法に関する事業
68%
26%
・食肉公正競争規約の普及浸透
・苦情相談窓口の設置
・食肉料理教室等の開催
4
経営マネジメントの合理化及び効率化に関する事業
43%
33%
・経営講習会又は各種研修会の開催
・経営に関する相談及び指導の実施
5
営業者及び従業者の技能向上に関する事業
46%
27%
・技術講習会の開催
・地域支援事業の実施
6
事業の共同化及び協業化に関する事業
49%
32%
・関係業界等との情報交換会の開催
・冷凍庫などの共同購入の実施、共通利用券の販売
7
仕入れ方法の工夫及び取引関係の改善に関する事業
49%
27%
・食肉等の共同購入供給の推進
・情報交換会の開催
8
従業者の福利の充実に関する事業
45%
35%
・共済制度の加入促進
・定期健康診断の受診促進
9
事業の承継及び後継者支援に関する事業
29%
29%
・後継者育成支援のための研修会等の開催
・組合員への現況調査の実施
10
環境の保全及びリサイクル対策の推進に関する事業
27%
23%
・講習会等の開催
・パンフレット等の配布
11
食育、食の安全への関心の高まり及び健康志向等への対応に関する事業
63%
28%
・消費者に対する啓発セミナーの開催
・パンフレット等の配布
12
少子高齢化社会への対応に関する事業
37%
20%
・講習会等の開催
・地域イベントへの参加
・少子高齢化対応のための調査研究
13
地域との共生に関する事業
57%
30%
・地域イベントへの参画
(注)組合からの実施状況報告を基に作成。
なお、国庫補助金としての予算措置(以下「予算措置」という。)については、平成23年度より、外部評価の導入を通じた効果測定の検証やPDCAサイクル(事業を継続的に改善するため、Plan(計画)-Do(実施)-Check(評価)-Act(改善)の段階を繰り返すことをいう。)の確立を目的として、「生活衛生関係営業の振興に関する検討会」の下に設けられた「生活衛生関係営業対策事業費補助金審査・評価会」において、補助対象となる事業の審査から評価までを一貫して行う等、必要な見直し等の措置を講じている。
このため、組合及び生活衛生同業組合連合会(以下「連合会」という。)等においても、振興計画に基づき事業を実施する際は、事業目標及び成果目標を可能な限り明確化した上で、達成状況についても評価を行う必要がある。
当該振興計画等の実施に向けて、組合及び連合会等においては、本指針及び振興計画の内容について広報を行い、組合未加入の営業者への加入の勧誘及び組合未結成地域の営業者への組合結成の支援を図ることが期待される。
組合への加入、非加入は営業者の任意であるが、生衛法の趣旨及び組合の活動内容等を詳しく知らない新規開設者等の営業者がいることも考えられるため、都道府県、保健所設置市又は特別区(以下「都道府県等」という)は、営業者による営業の許可申請又は届出等の際に、営業者に対して、生衛法の趣旨並びに関係する組合の活動内容、所在地、連絡先等について情報提供を行う等の取組の実施が求められる。
第三 食肉販売業の振興の目標に関する事項
一 営業者の直面する課題と地域社会から期待される役割
営業者は、家庭の食卓に欠かせない食材を身近に提供する役割を果たしてきた。こうした重要な役割を営業者が引き続き担い、国民生活の向上に貢献するため、経営課題や国民のニーズ、衛生課題に適切に対応しつつ、各々の営業者の経営戦略に基づき、その特性を活かし、事業の安定と活力ある発展を図ることが求められる。
特に、食肉販売業においては、営業者の高齢化が進む一方、若者の採用も難しいという状況の中で、いかに人材育成を図るかということが重要な課題である。
また、いわゆる「買い物弱者」等になりやすいことが危惧される高齢者、障害者、妊産婦及び子育て・共働き世帯等のニーズに的確に対応することで、営業者が営業を行う地域の住民が日常生活を送るために必要なセーフティーネットとしての役割や商店街における重要な構成員としての位置付けが強化され、生活者の安心を支える役割を担うことが期待される。
あわせて、社会全体の少子高齢化の進展や、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「障害者差別解消法」という。)の施行を踏まえ、全ての消費者が店舗を円滑に利用できるよう、ソフト、ハード両面におけるバリアフリー化及びユニバーサルデザイン化の取組が求められる。
一方で、これまでホテル、旅館及びレストランにおける食品表示の不正が生じてきたことを踏まえ、食肉販売業においても、食品表示法(平成25年法律第70号)、不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号。以下「景品表示法」という。)等の関係法令を遵守し、表示の適正化を推進し、消費者に対して納得感と安心感を提供していくことが求められる。
そのほか、高騰するエネルギー価格の問題に的確に対応するため、省エネルギー関係設備の導入等についても推進する必要がある。
さらに、受動喫煙(人が他人の喫煙によりたばこから発生した煙にさらされることをいう。以下同じ。)防止への対応も求められる。
各々の営業者は、これらを十分に認識し、各般の対策に積極的に取り組むことにより、食肉販売業に対する消費者の理解と信頼の向上を図ることを目標とすべきである。
また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う売上減や経営維持、雇用確保等に対応するため、日本公庫の融資や国及び自治体の補助金や助成制度を積極的に活用して早期に業績回復を図る必要がある。
二 今後5年間(令和3年度から令和7年度末まで)における営業の振興の目標
1 衛生問題への対応
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、我が国でも3つの「密」(密閉・密集・密接)の回避、人と人との距離を空ける、消毒や換気の徹底、業種別の感染拡大予防ガイドラインの遵守・徹底など、感染症対策に関する「新しい生活様式」に向けて徹底した衛生対策が求められている。
食を取り巻く環境の変化等に対応し食品の安全を確保するため食品衛生法が改正され、HACCPの考え方を取り入れた営業者による衛生管理、広域的な食中毒事案の発生や拡大防止等のために必要な対応等が盛り込まれており確実な実施が求められる。
また、食中毒等の衛生問題に対しては、営業者、保健所等衛生関係行政機関や都道府県生活衛生指導センター(以下「都道府県指導センター」という。)等との連携を密にして対応することが求められる。
衛生問題は、営業者が一定水準の衛生管理を行うことが必要最低条件である。しかし、一旦、処理、調製、加工、流通、調理等の過程において細菌等の汚染により食中毒等の食品衛生上の問題が発生した場合には、多くの消費者に被害が及ぶことはもとより、営業自体の存続が困難になる可能性があることから、日頃の地道な衛生管理の取組が重要である。
さらに、食の安全性及び信頼性に対する国民の関心が高まる中、消費者に対し、産地及び種類等の品質に関する情報を正確に提供し、消費者の納得感や安心感を得ていく必要がある。
こうした衛生問題は、個々の営業者の問題にとどまらず、業界全体に対する信頼を損ねることにもつながることから、組合及び連合会には、組合員、非組合員双方の営業者が食品の安全性の確保に関する自覚と責任感を持ち、衛生水準の向上が図られるよう、継続的に知識及び意識の向上に資する普及啓発や適切な指導及び支援に努めることが求められる。
とりわけ、地域で孤立する中小規模の営業者は、重要な公衆衛生情報を把握しにくいことも考えられるため、当該営業者に対し組合加入を促進するなど、公衆衛生情報の提供が円滑に行われるよう取り組むことが期待される。
2 経営方針の決定と消費者及び地域社会への貢献
食肉販売業は、スーパーマーケット、コンビニエンスストア等の進出によって、商店街や小規模店舗の多くが激しい価格競争を求められるなど、非常に厳しい経営環境となっている。
こうした中、営業者は、消費者のニーズや地域の世帯動向を的確に把握し専門性や地域密着、対面接客等の特性を活かし、競争軸となる強みを見いだし、独自性を十分に発揮し、次に掲げる点に留意しつつ、経営展開を行っていくことが求められる。
(1) 消費者ニーズの把握と創意工夫による経営展開
食肉販売業は、身近な営業者としての役割が発揮されるよう、消費者の要望にきめ細やかに対応した品揃え、弁当・惣菜の宅配や移動販売の実施、御用聞きといった消費者の様々な要望に対して積極的に応えていくことが必要である。また、創意工夫を活かした看板商品の提供など、専門店としての独自性を発揮し、付加価値を高め、差別化を図っていくことが重要である。
(2) 高齢者、障害者及び子育て世帯等への配慮
人口減少、少子高齢化及び過疎化の進展は、営業者の経営環境を厳しいものとするだけでなく、買い物の場所や移動手段など日常生活に不可欠な生活インフラそのものを弱体化させ、高齢者、障害者、妊産婦及び子育て・共働き世帯等が身近な買い物に不便・不安を感じる、いわゆる「買い物弱者」等の問題を顕在化させる。地域に身近な営業者の存在は、買い物弱者等になりがちな高齢者等から頼られる位置付けを確立し、中長期的な経営基盤の強化につながることが期待される。
高齢化の進展は、高齢者向けのサービス需要の拡がりにもつながることから、専門性や独自のこだわり、対面販売等の特性を活かしながら、地域密着で高齢者世帯のニーズにきめ細かに応じた商品やサービスの提供を積極的に行っていくことが求められる。
また、障害者差別解消法により、民間事業者は、障害者に対する合理的な配慮を求められていることから、ソフト、ハード両面におけるバリアフリー化及びユニバーサルデザイン化の取組を進める必要がある。
また、子育て・共働き世帯等が安心・安全にサービスを利用できるための配慮も併せて求められる。
(3) 省エネルギーへの対応
節電などの省エネルギーによる経営の合理化、コスト削減、環境保全に資するため、不要時の消灯や照明ランプの間引き、LED照明装置やエネルギー効率の高い空調設備等の導入等を推進することが期待される。
(4) 受動喫煙防止への対応
受動喫煙については、健康に悪影響を与えることが科学的に明らかにされており、国際的にも、「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」の締結国として、国民の健康を保護するために受動喫煙防止を推進することが求められている。
このため、受動喫煙による健康への悪影響をなくし、国民及び労働者の健康の増進を図る観点から、健康増進法(平成14年法律第103号)及び労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)により、望まない受動喫煙が生じないよう、多数の者が利用する施設の管理者や営業者は受動喫煙を防止するための措置を講じることとされており、食肉販売業においても、受動喫煙防止の強化を図り、その実効性を高めることが求められる。
3 税制及び融資の支援措置
食肉販売業の組合又は組合員には、生活衛生関係営業の支援策の一つとして、税制優遇及び日本公庫を通した低利融資を受ける仕組みがある。
税制優遇措置としては、組合が共同利用施設を取得した場合の特別償却制度が設けられており、組合において共同配送用車輌及び共同蓄電設備の購入時や組合の会館を建て替える際などに活用することができる。
融資については、対象設備及び運転資金について、振興計画を策定している組合の組合員である営業者が借りた場合は、組合員でない営業者が借りる場合よりも低利の融資を受けることができる。また、各都道府県の組合が作成した振興計画に基づき、一定の会計書類を備えている営業者が所定の事業計画を作成して設備資金及び運転資金を借りた場合には、更に低利の融資を受けることができる振興事業促進支援融資制度が設けられており、特に設備投資を検討する営業者には、積極的な活用が期待される。
加えて、組合等の経営指導を受けている小規模事業者においては、低利かつ無担保・無保証人で融資を受けることができる生活衛生関係営業経営改善資金特別貸付が設けられており、積 極的な活用が期待される。
三 関係機関に期待される役割
1 組合及び連合会に期待される役割
組合は、公衆衛生の向上及び消費者の利益の増進に資する目的で、組合員たる営業者の営業の振興を図るための振興計画を策定することができる。組合には、地域の実情に応じ、適切な振興計画を策定することが求められる。
組合及び連合会には、予算措置や独自の財源を活用して、営業者の直面する衛生問題及び経営課題に対する適切な支援事業を実施することが期待される。
事業の実施に際しては、有効性及び効率性(費用対効果)の観点から、計画期間に得られる成果目標を明確にしながら事業の企画立案及び実施を行い、得られた成果については適切に効果測定するなど、事業の適切かつ効果的な実施に努めることが求められる。
加えて、組合及び連合会には、振興指針及び振興計画の内容について広く広報を図り、組合未加入の営業者への加入勧誘及び組合未結成地域の営業者への組合結成の支援を図ることが期待される。広報を行う際には、組合活動への参画のイメージを分かりやすく提示するなど営業者の目線に立った情報提供を行うことが求められる。
また、事業効果を最大限発揮し事業成果を広く国民や社会に還元できるよう、都道府県指導センター、保健所等衛生関係行政機関、日本公庫支店等との連携及び調整を行うことが期待される。
2 都道府県等、都道府県指導センター及び日本公庫に期待される役割
営業許可申請等の各種申請や届出、研修会、融資相談などの様々な機会を捉え、新規営業者をはじめとする組合未加入の営業者に対し、組合に関する情報提供を行うとともに組合活動の活性化のための取組等を積極的に行うことが期待される。
また、多くの営業者が経営基盤の脆弱な中小規模の営業者であることに鑑み、都道府県指導センター及び日本公庫において、組合と連携しつつ、営業者へのきめ細かな相談及び指導その他必要な支援等を行い、予算措置、融資による金融措置(以下「金融措置」という。)、税制優遇措置等の有効的な活用を図ることが期待される。
とりわけ、金融措置については、審査及び決定を行う日本公庫において営業者が利用しやすい融資の実施、生活衛生関係営業に係る経済金融事情等の把握及び分析に努め、関係団体に情報提供するとともに、日本公庫と都道府県指導センターが協力して、融資手続や事業計画の作成に不慣れな営業者への支援の観点から、融資に係るきめ細かな相談及び融資手続の簡素化を行うことが期待される。低利融資制度については、各々の営業者の事業計画作成が前提とされることから、本指針の内容を踏まえ、営業者の戦略性を引き出す形での指導を行うことが求められる。
加えて、都道府県指導センターにおいて、組合が行う生活衛生関係営業経営改善資金特別貸付に係る審査を代行するなど、金融措置の利用の促進を図ることが期待される。
3 国及び全国指導センターに期待される役割
国及び全国指導センターは、公衆衛生の向上及び営業の健全な振興を図る観点から、都道府県等及び連合会と連携を図り、信頼性の高い情報の発信及び的確な政策ニーズの把握等を行う必要がある。また、予算措置、金融措置及び税制優遇措置を中心とする政策支援措置については、営業者の衛生水準の確保及び経営の安定に最大限の効果が発揮できるよう、安定的に所要の措置を講じるとともに、制度の活性化に向けた不断の改革の取組が必要である。
また、全国指導センターにおいては、地域で孤立する中小規模の営業者のほか、大規模チェーン店に対しても、組合加入の働きかけや公衆衛生情報の提供機能の強化を行うため、関係の組合及び連合会との連携を促すための取組が求められる。
第四 食肉販売業の振興の目標を達成するために必要な事項
食肉販売業の目標を達成するために必要な事項としては、次に掲げるように多岐にわたるが、営業者においては、衛生水準の向上等のために必須で取り組むべき事項と、戦略的経営を推進するために選択的に取り組むべき事項を区別することで、課題解決と継続的な成長を可能にし、国民生活の向上に貢献することが期待される。
また、組合及び連合会においては、組合員である営業者等に対する指導及び支援並びに消費者の食肉販売業への信頼向上に資する事業の計画的な推進が求められる。
このために必要となる具体的取組は、次に掲げるとおりである。
一 営業者の取組
1 衛生水準の向上に関する事項
(1) 日常の衛生管理に関する事項
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、我が国でも3つの「密」(密閉・密集・密接)の回避、人と人との距離を空ける、消毒や換気の徹底、業種別の感染拡大予防ガイドラインの遵守・徹底など、感染症対策に関する「新しい生活様式」に向けて徹底した衛生対策を行う必要がある。
営業者は、食品衛生法等の関係法令を遵守することは当然であり、加えて衛生水準の一層の向上を図るため、食品衛生に関する専門的な知識を深めるとともに、処理段階での対策の強化や生産段階との連携の強化、食品衛生責任者の活用や加工機器、容器等の衛生管理の改善に取り組むことが必要である。
また、営業者は、消費者が信頼し、安心できる商品を提供するために、店舗の衛生管理及び従業員の健康管理を行い、食中毒等食品衛生上の問題が発生しないようにすることが重要である。特に、食材を保管する冷蔵設備については、毎日定期的に温度管理を行うとともに、これらの工程を徹底し、HACCPに沿った衛生管理を行う必要がある。
また、営業者は、衛生管理上の自主点検を行い、その結果を店内に表示するなど、衛生管理のために自店舗が講じている措置について、消費者に対し積極的に周知することが必要である。さらに、従業員の清潔な衣類の着用の徹底、手洗いの励行、店舗の清掃等により、消費者に不快感を与えない配慮が必要である。
(2) 衛生面における店舗及び設備の改善に関する事項
営業者は、日常の衛生管理の取組に加えて、定期的かつ適切に自店舗の施設及び設備について衛生面の改善に取り組むことが必要である。特に食肉の保管管理を徹底することが重要であるため、その管理に必要な冷蔵設備、加工機器及び容器等の改善に取り組むことが必要である。
2 経営課題への対処に関する事項
個別の経営課題への対処については、営業者の自立的な取組が前提であるが、多様な消費者の要望に対応する商品及び良質なサービスを提供し、国民の食生活の向上に貢献する観点から、営業者においては、次に掲げる事項を念頭に置き、経営改革に積極的に取り組むことが期待される。
特に、家族経営等の場合、営業者や従業員が変わることはほとんどないため、経営手法が固定的になりやすいことから、経営改革に取り組むことが重要であり、次に掲げる事項に選択的に取り組むことが期待される。
(1) 経営方針の明確化及び独自性の発揮に関する事項
現在置かれている経営環境や市場を十分に把握、分析し、自店舗や地域の特性を踏まえ、強みを見いだし、経営方針を明確化し、自店舗の付加価値や独自性を高めていくとともに、経営管理の合理化及び効率化を図ることが必要であることから、次に掲げる事項に選択的に取り組むことが期待される。
ア 自店舗の立地条件、消費者層、資本力、経営能力、技術力等の経営上の特質の把握
イ 周辺競合店舗に関する情報収集と比較
ウ ターゲットとする消費者層の特定
エ 重点商品の明確化
オ 店舗のコンセプト及び経営戦略の明確化
カ 売上状況の把握とそれを踏まえた仕入れの管理
キ 経営手法、熟練技能、専門的知識の習得及び伝承並びに後継者の育成
ク 若手人材の活用による経営手法の開拓
ケ 都道府県指導センター等の経営指導機関による経営診断の積極的活用
(2) サービスの見直し及び向上に関する事項
消費者のニーズやライフスタイル、世帯構造の変化、国民の食の安全への意識の高まりや健康志向に的確に対応し、消費者が安心して利用できるよう、商品、サービス及び店づくりの充実や情報提供の推進に努め、消費者の満足度を向上させるとともに、新たな消費者を獲得することが重要であることから、次に掲げる事項に選択的に取り組むことが期待される。
ア サービスの充実
① 従業員等の教育及び研修の徹底
② 競争力の高い良質なサービスや付加価値の高い食材の提供
③ 「顔の見える」サービスならではの消費者へのきめ細かなサービスの提供
④ 消費者との信頼関係の構築及び懇切丁寧な接客の実施
⑤ 経営者自らによる消費者の要望の把握
⑥ 優秀な人材の獲得並びに若手従業員の育成、指導及び資質向上
⑦ 魅力ある職場づくり(人と人の心のチームワーク)
⑧ 経営手法及び熟練技能の効率的な伝承
イ 食の安全への関心の高まりや食を通じた健康づくりなどの健康志向への対応
① 安全な食材を使用し健康志向に対応したメニューの提供
② 食材の原産地表示等への積極的な取組
③ 生活習慣病を予防する取組への参画
ウ 消費者のニーズやライフスタイルの変化等に対応した店づくり
① 専門性を活かした付加価値の高い商品や看板商品の提供(高い商品力・提案力)
② 自家製ソーセージ等付加価値の高い商品の提供
③ 食肉の特性を活かしたおいしい調理方法や季節に応じた料理メニューに関する情報提供
④ 豊富な品揃えによる専門店にふさわしい商品力の充実
⑤ 肉惣菜類(自家製商品)を含む新たなサービスの開発及び展開
⑥ お得感を訴求した商品の開発及び提供
⑦ 地産地消の食材を使用した商品の開発及び提供
⑧ 高齢者層が気軽に集える「場」の提供
⑨ 宅配、御用聞き等の実施(買い物弱者等の対策の強化)
(3) 店舗及び設備の改善並びに業務改善等に関する事項
営業者は、鮮度管理の求められる食品を提供する営業店舗であることを十分認識するとともに、近年の省エネルギー及び節電の要請にも応じ、店舗及び設備の改善、業務の効率化等のため、次に掲げる事項に取り組むことが期待される。
ア 安全で衛生的な店舗とするための定期的な内外装の改装
イ 各店舗の特性を踏まえた清潔な雰囲気の醸成
ウ 高齢者、障害者等に配慮したバリアフリー対策の実施
エ 消費者の安全衛生及び従業員の労働安全衛生の観点からの施設、冷凍設備等の整備
オ 省エネルギー対応の冷凍冷蔵設備、空調設備、太陽光発電設備等の導入
カ 節電に資する人感センサー、LED照明、蓄電池設備等の導入
キ 作業手順の標準化及び見える化やコンピュータ・情報システムの導入等による合理化及び効率化
ク 都道府県指導センターなどが開催する生産性向上等を図るためのセミナー等への参加及
び 業務改善助成金等各種制度の活用
ケ 受動喫煙の防止
コ 賠償責任保険への加入促進
(4) 情報通信技術を利用した新規顧客の獲得及び顧客の確保に関する事項
営業者は、情報セキュリティの管理に留意しつつ、インターネット等の情報通信技術を効果的に活用する等、次に掲げる事項に選択的に取り組むことが期待される。
ア ホームページの開設等による積極的な情報発信
イ 消費者情報のデータベース化等による適切な管理
ウ 季節の行事に応じたダイレクトメールの郵送や広報チラシの配布
エ 飲食情報サイト、スマートフォンアプリ等を介した割引サービスの実施
オ インターネット等の活用による注文及び予約の受付
カ クレジットカード決済及び電子決済の導入及び普及
キ コンピュータ及び情報システムを利用した業務の合理化及び効率化
(5) 表示の適正化と苦情の適切な処理に関する事項
営業者は、消費者の食の安全への関心及び健康志向の高まりに対応し、景品表示法等の関係法令を遵守し、表示の適正化を図り、適切な情報提供を行い、消費者に納得感と安心感を与えるとともに、消費者からの苦情に誠実に対応し、問題の早急かつ円満な解決に努めることが重要であることから、次に掲げる事項に取り組むことが期待される。
ア 関係法規等を遵守した適切な食材の原産地表示
イ 商品の品目、飼育者、飼育方法、処理日時、加工方法等の情報提供
ウ 商品の展示及び包装方法の工夫
エ 分かりやすい価格表示
オ 消費者の疑問や苦情への的確な対応(苦情処理マニュアルの作成等)
カ 地域の特性に応じた外国語商品表示や外国の文化に配慮(ハラール等)した表示の推進
キ 従業員に対する危機管理教育の徹底
(6) 人材育成及び自己啓発の推進に関する事項
営業者は、職人の技術を向上させ、接客態度、消費者への知識提供等の面でのサービスの向上に努めるとともに、適正な労働条件の確保に努めることが期待される。
また、営業者は、後継者及び独立を希望する従業員が、経営、顧客管理、従業員管理等の技能を取得できるよう、自己啓発を促すとともに、後継者及び従業員の人材育成に努めることが望まれる。
二 営業者に対する支援に関する事項
1 組合及び連合会による営業者の支援
組合及び連合会においては、営業者の自立的な経営改革を支援する都道府県指導センター等の関係機関との連携を密にし、次に掲げる事項を中心に積極的な支援に努めることが期待される。
また、支援に当たっては、関係機関等が作成する、営業者の経営改善に役立つ手引や好事例集等を効果的に活用すること、及び関係機関が開催する生産性向上等を推進するためのセミナー等に関して組合員に対する参加の促進等必要な協力を行うことが期待される。
(1) 衛生に関する知識及び意識の向上に関する事項
食品衛生上の安全を確保し、かつ良質な商品の提供を行うため、次に掲げる事項に取り組むことが期待される。
ア 衛生管理を徹底するための研修会及び講習会の開催
イ 衛生管理に関するパンフレットの作成による普及啓発
ウ 衛生管理に関するポスターの掲示等による広報促進
エ 衛生基準の設定
オ HACCPの考え方を取り入れた衛生管理を推進するための手引書作成
(2) サービス、店舗及び設備並びに業務の効率化に関する事項
衛生水準の向上、経営マネジメントの合理化及び効率化、消費者利益及び健康の増進等のため、サービス、店舗及び設備の改善、業務の効率化に関する指導、助言及び情報提供、ICTの活用に係るサポートなど、必要な支援に努めることが期待される。
(3) 消費者利益の増進及び商品の提供方法に関する事項
消費者の利益を増進し、消費者に対する正しい情報の提供を行うため、次に掲げる事項に取り組むことが期待される。
ア 接客手引の基本となるマニュアルの作成
イ 苦情相談窓口の開設
ウ 苦情対応マニュアルの作成及び普及啓発
エ 危機管理マニュアルの作成及び普及啓発
オ 商品の適正表示マニュアルの作成及び普及啓発
カ トレーサビリティーを確保する取組の推進
キ 生産者、生産地等に関する情報の収集及び提供
ク 消費者調査に基づく消費者嗜好の把握
ケ 消費者の要望に対応したメニュー及びサービスについての情報提供
コ 消費者に対する食肉についての正しい知識に関する普及啓発
(4) 経営マネジメントの合理化及び効率化に関する事項
先駆的経営事例、地域的経営環境条件及び食肉販売業の将来展望に関する情報の収集及び整理に努め、営業者への助言等に活用することが期待される。
さらに、関係機関との連携の下での、創業や事業承継における助言・相談の取組の推進が期待される。
(5) 経営課題に即した相談支援に関する事項
営業者が直面する様々な経営課題に対して、経営特別相談員による経営指導事業の周知に努めるとともに、これを金融面から補完する生活衛生関係営業経営改善資金特別
(6) 営業者及び従業員の技能の向上に関する事項
営業者及び従業員の技能の向上を図るため、次に掲げる事項に取り組むことが期待される。
ア 研修会及び講習会の定期的開催等教育研修制度の充実強化
イ 接客の基本となるマニュアルの作成
ウ 消費者の要望に対応したメニューやサービスの情報提供
(7) 事業の共同化及び協業化に関する事項
事業の共同化及び協業化の企画立案及び実施に係る指導に努めることが期待される。
(8) 取引関係の改善に関する事項
取引関係の改善を図るため、次に掲げる事項に取り組むことが期待される。
ア 共同購入等取引面の共同化の推進
イ 食品等関連業界の協力の下で行う、取引条件の合理的改善及び組合員等の経済的地位の向上
(9) 従業員の福利の充実に関する事項
従業員の労働条件整備及び労働関係法令の遵守に関する助言、作業環境の改善及び健康管理充実(定期健康診断の実施等を含む。)のための支援、医療保険、年金保険及び労働保険の加入等に係る啓発、組合員等の大多数の利用に資する福利厚生の充実並びに共済等(退職金、生命保険等をいう。)の整備及び強化に努めること。
さらに、男女共同参画社会の推進及び少子高齢化社会の進展を踏まえ、従業員の福利の充実に努めることが期待される。
(10) 事業の承継及び後継者育成支援に関する事項
営業者の高齢化が急激に進んでいることから、事業の円滑な承継に関するケーススタディ、成功事例等の経営知識や各地域にある事業承継に関する相談機関及び最新の関連税制についての情報提供並びに後継者育成支援の促進を図るために必要な支援体制の整備に努めることが期待される。
(11) 食品関連情報の提供や行政施策の推進に関する事項
国内外における食に関する最新の情報や行政施策の動向等について、行政機関との連携等を通じ、組合員等への適切な情報提供を図るとともに、行政施策に基づく指導及び支援に努めることが期待される。
2 行政施策及び政策金融による営業者の支援及び消費者の信頼の向上
(1) 都道府県指導センター
組合との連携を密にして、次に掲げる事項を中心に積極的な取組に努めることが期待される。
ア 関係機関等が作成する手引や好事例集等を効果的に活用した、営業者に対する経営改善の具体的指導及び助言等の支援
イ 消費者からの苦情及び要望の営業者への伝達
ウ 消費者の信頼の向上に向けた積極的な取組
エ 都道府県等と連携した組合加入促進に向けた取組
オ 連合会及び都道府県等と連携した組合の振興計画の策定に対する指導及び支援
カ 生産性向上や業務改善を推進するためのセミナー等の開催
(2) 全国指導センター
都道府県指導センターの取組を推進するため、次に掲げる事項を中心に積極的な取組に努めることが期待される。
ア 関係機関等が作成する手引や好事例集など、営業者の経営改革の取組に役立つ情報の収集、整理及び情報提供の実施
イ 危機管理マニュアルの作成
ウ 苦情処理マニュアルの作成
エ 効果測定の支援及び政策提言機能の強化
オ 公衆衛生情報の提供機能の強化
(3) 国及び都道府県
食肉販売業に対する消費者の信頼の向上及び営業の健全な振興を図る観点から、次に掲げる事項を中心に積極的な取組に努めることが期待される。
ア 食品衛生に関する指導監督
イ 食品衛生に関する情報提供その他必要な支援
ウ 災害又は事故等の発生時における適時かつ適切な風評被害防止策の実施
エ 営業者の経営改善に役立つ手引や好事例集等の作成及び更新並びに各種支援策の周知
(4) 日本公庫
営業者の円滑な事業実施に資するため、次に掲げる事項を中心に積極的な取組に努めることが期待される。
ア 営業者が利用しやすい融資の実施
イ 生活衛生関係営業に係る経済金融事情等の把握、分析及び情報提供の実施
ウ 組合等と連携した経営課題の解決に資するセミナーの開催及び各種印刷物の発行による情報提供の実施
エ 災害時等における速やかな相談窓口の設置
オ 事業承継の円滑化に資する情報提供の実施
第五 営業の振興に際し配慮すべき事項
食肉販売業に対しては、他の生活衛生関係営業と同様に、衛生水準の確保と経営の安定のみならず、営業者の社会的責任としての環境の保全や省エネルギーの推進、食品循環資源の再生利用等の推進に努めるとともに、時代の要請である少子高齢化社会等への対応、食肉販売業に密接に関連する食育への対応、禁煙等に関する対策、地域との共生、災害への対応及び従業員の賃金引上げを踏まえた対応並びに働き方・休み方改革への対応といった課題に応えていくことが要請される。
こうした課題への対応は、個々の営業者が中心となって、関係者の適切な支援の下で行われることが必要であり、その対応を通じて、現在、我が国の政府や多数の企業・地方自治体・関係団体でも取り組まれている国際連合の持続可能な開発目標(SDGs)に貢献し、地域社会に確固たる位置付けを確保することが期待される。
一 食育、食の安全への関心の高まり及び健康志向等への対応
1 営業者に期待される役割
営業者は、健康づくりのための食育の推進に積極的に取り組むため、次に掲げる事項を中心に積極的な取組に努めることが期待される。
(1) 食文化の継承のための食事マナー及び調理方法の普及
(2) 地域における食生活の改善の支援
(3) 食品の安全性に関する知識の普及の支援
(4) 安全な食材を使用した健康に良い食品の開発及び提供
(5) ヘルシーメニューの開発及び提供
(6) 食材の原産地表示の推進
(7) 提供商品に応じた食物アレルギー物質の有無の表示及び総カロリーの表示
2 組合及び連合会に期待される役割
効果的な食育の実施方法についての研究を実施する。
3 日本公庫に期待される役割
融資の実施等により営業者を支援する。
二  少子高齢化社会等への対応
1 営業者に期待される役割
営業者は、高営業者は、高齢者、障害者、妊産婦及び子育て・共働き世帯等が住み慣れた地域社会で安心かつ充実した日常生活を営むことができるよう、次に掲げる事項を中心に積極的な取組に努めることが期待される。齢者、障害者及び一人暮らしの者並びに子育て世帯及び共働き世帯等が住み慣れた地域社会で安心かつ充実した日常生活を営むことができるよう、以下に掲げる事項を中心に積極的な取組に努めることが期待される。
(1) 宅配、御用聞き等の実施(他)生活衛生関係営業者等との連携を含む)
(2) 小分けや加工食品(惣)・惣菜半製品等)の販売の実施
(3) 高齢者に配慮したメニューや少量メニューの提供
(4) 高齢者、障害者、妊産婦や子供連れの顧客等に配慮した店舗のバリアフリー化
(5) 身体障害者補助犬を同伴する身体障害者等への適切な対応
(6) 障害者差別解消法の規定に基づく障害者への合理的配慮
(7) 受動喫煙の防止
(8) 従業員に対する教育及び研修の充実及び強化
(9) 子育て・共働き世帯等が働きやすい職場環境の整備
(1)) 地域社会とのつながりを強化する観点も含めた地域の高齢者・障害者等の積極的雇用の推進
2 組合及び連合会に期待される役割
高齢者、障害者、妊産婦及び子供連れの顧客等の利便性を考慮した店舗設計やサービス提供に係る研究を実施する。
3 日本公庫に期待される役割
高齢者、障害者、妊産婦及び子供連れの顧客等の利用の円滑化を図るために必要な設備(バリアフリー設備等)導入時に、振興事業貸付等が積極的に活用されるよう、引き続き制度の周知等を図る。
三 地域との共生(地域コミュニティの再生及び強化(商店街の活性化))
1 営業者に期待される役割
営業者は、地域住民に対して食肉販売業の存在、提供する商品及びサービスの内容並びに営業の社会的役割及び意義をアピールするとともに、地域で増加する「買い物弱者」等の新たなニーズに対応し、地域のセーフティーネットとしての役割や地域コミュニティの基盤である商店街における重要な構成員としての位置付けが強化されるよう、次に掲げる事項を中心に積極的に取り組むことで、地域コミュニティの再生及び強化や商店街の活性化につなげることが期待される。
(1) 地域の街づくりへの積極的な参加及び地域の営業者と連携したサービスの提供
(2) 「賑わい」や「つながり」を通じた豊かな人間関係(ソーシャル・キャピタル)の形成
(3)  ポイントサービス事業及びスタンプ事業の実施
(4)  地域の防犯、消防、防災、交通安全及び環境保護活動の推進に対する協力
(5)  地産地消の推進
(6)  災害対応能力及び危機管理能力の維持向上
(7)  地震等の大規模災害が発生した場合における、地域住民への支援
(8)  暴力団排除等への対応
2 組合及び連合会に期待される役割
(1) 地域の自治体等と連携し、社会活動の企画、指導及び援助ができる指導者を育成
(2) 業種を超えた相互協力の推進
(3) 地域における特色ある取組の支援
(4) 自治会、町内会、地区協議会、NPO、大学等との連携活動の推進
(5) 商店街役員への食肉販売業の若手経営者の登用
(6) 地域における事業承継の推進(承継マッチング支援)及び新規開業希望者の育成
(7) 地域、商店街活性化に資する組合活動事例の周知
3 日本公庫に期待される役割
きめ細かな相談、融資の実施等により営業者及び新規開業希望者を支援する。
四 環境の保全、省エネルギー強化及び食品循環資源の再生利用等の推進
営業者は、将来に向けた持続可能な消費と生産のパターンを確保する社会的役割・責任が求められており、限りある資源エネルギーや環境保全、食品・資源循環型社会を実現するため、次に掲げる事項を中心に積極的に取り組むことが期待される。
1 営業者に期待される役割
(1) 省エネルギーや自然冷媒へのアクセスなど、環境保護にも対応した冷凍冷蔵設備、冷房設備及び太陽光発電設備等の導入
(2) 冷凍冷蔵設備入れ替え時における適切な廃棄処理
(3) 節電に資する人感センサー、LED照明装置及び蓄電設備等の導入
(4) 食品循環資源の再生利用等実施率の向上
(5) 食品ロスの削減並びに食品廃棄物の発生抑制及び減量
(6) 廃棄物の最小化及び分別回収の実施
(7) 温室効果ガス排出の抑制
(8) プラスチック製買物袋の有料化等プラスチック製品削減に向けた取組
2 組合及び連合会に期待される役割
(1) 食品循環資源の再生利用の仕組みの構築
(2) 業種を超えた組合間の相互協力の実施
(3) 食品循環資源の再生利用に向けた組合員以外の営業者への参加促進及び普及啓発
3 日本公庫に期待される役割
省エネルギー設備導入時に、振興事業貸付等の制度が積極的に活用されるよう、引き続きこうした制度の周知を図る。
五 禁煙等に関する対策
1 営業者に期待される役割
営業者は、望まない受動喫煙防止のため、顧客層、経営方針、店舗の規模等を考慮した上で、次に掲げる事項を中心に必要な対応を図ることが求められる。
(1) 施設内の禁煙の徹底や喫煙専用室等の設置
(2) 受動喫煙による健康影響が大きい子供など20歳未満の者、患者等への配慮
(3) 従業員に対する受動喫煙防止対策
2 組合及び連合会に期待される役割
受動喫煙防止対策及び飲酒運転根絶等に関する効果的な情報提供を行い、併せて制度周知を図る。
3 国及び都道府県等の役割
受動喫煙防止に関する制度周知や受動喫煙防止対策に有効な予算措置、金融措置等に関する情報提供を行う。
4 日本公庫に期待される役割
融資の実施等により営業者を支援する。
六 災害への対応と節電行動の徹底
我が国は、その位置、地形、地質、気象等の自然的条件から、台風、豪雨、豪雪、洪水、土砂災害、地震、津波、火山噴火等による災害が発生しやすい国土となっており、継続的な防災対策及び災害時の地域支援を含めた対応並びに節電行動への取組が期待される。
1 営業者に期待される役割
災害時は営業者自身の安全を確保した上で、次に掲げる事項を中心に必要な対応を図ることが求められる。
(1) 災害発生前段階における防災対策の実施及び災害対応能力の維持向上
(2) 地域における防災訓練への参加及び自店舗等での防災訓練の実施
(3) 近隣住民等の安否確認や被災状況の把握及び自治体等への情報提供
(4) 地震等の大規模災害が発生した場合における、地域住民への支援
(5) 被災した営業者のみならず営業者全体による相互扶助の実施と営業者間の連携の下での役割の発揮
(6) 災害発生時における、被災した営業者の営業再開を通じた被災者への支援及び地域コミュニティの復元
(7) 従業員及び消費者に対する節電啓発
(8) 中長期の節電に資する省エネルギー対応の設備の導入
(9) 節電を通じた経営の合理化
(10) 電力制約下における新たな需要(ビジネス機会)の取り込み
2 組合及び連合会に期待される役割
(1) 営業者及び地域並びに災害種別を想定した防災対策への支援
(2) 同業者による支え合い(太い「絆」による再強化)
(3) 災害発生時の被災者の避難誘導等を通じた帰宅困難者の発生抑制、帰宅支援等の取組
(4) 被災した地域住民を支援するボランティア参加について、組合員への呼びかけ
(5) 節電啓発や節電行動に対する支援
(6) 節電に資する共同利用施設(共同蓄電設備等)の設置
3 国及び都道府県等の役割
過去の災害を教訓とした防災対策や情報収集、広報の実施等、次に掲げる事項を中心に積極的な取組に努める。
(1) 過去の災害を教訓とした緊急に実施する必要性が高く、即効性の高い防災、減災等の施策の実施
(2) 節電啓発や節電行動の取組に対する支援
4 日本公庫に期待される役割
災害発生時には、被災した営業者に対し低利融資を実施し、きめ細やかな相談及び支援を行う。
七 最低賃金の引上げを踏まえた対応(生産性向上を除く。)
最低賃金については、政府の目標として「年率3%程度を目途として、名目GDP成長率にも配慮しつつ引き上げ、全国加重平均が1000円となることを目指す」ことが示されていることから、次に掲げる事項を中心に積極的な取組に努める必要がある。
1 営業者に期待される役割
(1) 最低賃金の遵守
(2) 業務改善助成金、キャリアアップ助成金等各種制度の必要に応じた活用
(3) 関係機関が開催する最低賃金に関するセミナー等への参加を通じた最低賃金制度の理解
2 組合及び連合会に期待される役割
(1) 最低賃金の制度周知
(2) 助成金の利用促進
助成金等の各種制度や関係機関が開催する最低賃金に関するセミナー等の周知を図る。
3 都道府県指導センターに期待される役割
(1) 最低賃金の周知
従業員等の最低賃金違反に関する相談窓口(労働基準監督署等)の周知を図る。
(2) 助成金の利用促進に向けた体制の整備
助成金等の申請に係る支援の周知や相談体制の整備を図る。
(3) 関係機関との連携によるセミナー等の開催
労働局等との連携により経営相談事業等を実施するほか、関係機関との連携により最低賃
4 国及び都道府県等の役割
(1) 営業許可等を行っている自治体における事業者向け講習会等の機会を利用した周知
(2) 営業許可等の際における窓口での個別周知
(3) 研修会等を通じた助成金制度の周知
5 日本公庫に期待される役割
従業員の賃金引上げや人材確保に必要な融資に、振興事業貸付等が積極的に活用されるよう、引き続きこうした制度の周知等を図る。
八 働き方・休み方改革に向けた対応
従業員がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる職場環境を作ることで人材の確保や生産性の向上が図られるよう、営業者には長時間労働の是正や雇用形態に関わらない公正な待遇の確保、また、職場におけるハラスメント対策を行うことが求められる。
1 営業者に期待される役割
(1) 時間外労働の上限規制及び月60時間超の時間外割増賃金率の引上げへの対応による長時間労働の是正
(2) 年5日の年次有給休暇の確実な取得
(3) 雇用形態や就業形態に関わらない公正な待遇の確保
(4) 従業員に対する待遇に関する説明義務
(5) セクシュアルハラスメントやパワーハラスメント等の職場におけるハラスメント対策
2 組合及び連合会に期待される役割
相談窓口及び関係機関が開催するセミナー等の周知を図る。
3 都道府県指導センターに期待される役割
相談窓口及び関係機関が開催するセミナー等の周知を図る。
4 国及び都道府県等の役割
(1) 営業許可等を行っている自治体における事業者向け講習会等の機会を利用した制度周知
(2) 営業許可等の際における窓口での制度周知
(3) 研修会等を通じた制度周知
5 日本公庫に期待される役割
従業員の長時間労働の是正や非正規雇用の処遇改善に取り組むために必要な融資に、振興事業貸付等が積極的に活用されるよう、引き続きこうした制度の周知等を図る。
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